相続放棄をする場合の家の片づけ
1 家の片づけはしてもいいのか?
たとえば、お父さんが賃貸住まいで、そのまま亡くなってしまうと、家電や家具など、家の中にあるものが残ってしまいます。
また、家電や家具以外にも、食器、衣服、書籍など色々なものが家の中にあるはずです。
通常、大家さんから「次の人に貸したいから、早く家の中を片付けて、部屋を明け渡して欲しい」などと言われることが多いです。
相続をするのであれば、そのまま片付けても問題ないのですが、相続放棄をする場合は、慎重な対応が求められます。
もし、安易に家を片付けてしまうと、相続放棄ができなくなってしまう可能性があります。
2 相続放棄をすると、原則として遺産を処分することはできない
遺産の処分は、基本的に遺産を相続した人しか行うことができません。
そのため、相続放棄をして、相続人では亡くなった人は、遺産に関する処分を失い、遺産を処分することができないのが原則です。
ここでいう遺産の処分とは、遺産を売ったり、遺産を捨てたりする行為が含まれます。
先程の例で言うと、お父さんの家の中にある家電、家具、その他の物は、相続放棄をすると、売ったり捨てたりはできないということになります。
3 無価値の物であれば、処分しても許される
たとえば、家族で撮影した写真、家族同士でのお手紙、古すぎて業者に買い取ってもらえない家電など、経済的に無価値なものであれば、処分をしても許されると考えられています。
価値があるかどうか分からない場合は、遺品整理業者などに査定をしてもらうという方法があります。
4 その他の手段
遺産を売ったり、捨てたりすることは、原則としてできませんが、保管をするだけであれば、処分に該当しません。
そのため、たとえばトランクルームなどに物を運び、大家さんに家を明け渡すといった対策が考えられます。
しかし、いつまでもトランクルームで遺産を管理するというのは、現実的ではありません。
そのようなケースでは、相続財産清算人の選任申立てを行い、相続財産清算人に遺産の処分を任せるという方法があります。
ただし、この方法は、一定のお金がかかってしまいます。
どのような手段がベストかは、専門家に相談してから決めましょう。